人身傷害保険の内容

自動車事故では自動車や財物以外に、人も損害を受ける可能性があります。被害者が発生した場合の損害というものは、金額を簡単に決定することはできません。そのため、損害保険選びでは、ある程度高額な保険金が支払われる自動車保険を選ぶことが大切です。また、自動車事故による被害は、何も自動車に乗車している時だけに起こるわけではありません。歩行中や自転車を運転中など、さまざまなケースが想定されます。こうしたことを踏まえている補償を備えているのが「人身傷害保険」です。人身傷害保険とは、人身となっており、対人の補償を備えた保険です。人身傷害保険では、自動車に搭乗中による損害だけでなく、歩行中や自転車の運転中に自動車による損害を受けた場合も補償の対象となります。
この人身傷害保険に似た保険として搭乗者傷害保険がありますが、搭乗者傷害保険は自動車に搭乗中の被害に対して補償される自動車保険です。すなわち、搭乗者傷害保険よりも、人身傷害保険の方が補償対象が多いと言えます。さらに搭乗者傷害保険と異なる点があります。通常の自動車事故に対する補償とは、事故後の示談が成立してから保険金が支払われます。そのため、被害者となった方も医療費などは被害者自身が先に立て替える必要があります。被害者救済のための自動車保険でありながらも、被害者に一定の負担を強いるものと言えます。ですが人身傷害保険は、示談の成立前に補償が成されます。すなわち事故後の示談に関わらず、保険金が支払われるものとなっています。被害者救済という観点で言えば、搭乗者傷害保険よりも人身傷害保険の方が優れているということができます。このように、人身傷害保険は搭乗者傷害保険よりも優れている点があります。
ですが補償対象は一部重複しています。損害保険選びで大切なことは、1つの損害に対しては、1つの補償となっているということです。例えば自動車保険2社加入しており、損害額が1000万円だったとします。この場合、2社がそれぞれ500万円ずつ保険金として支払います。補償が重複している場合は、このように分担して支払われ、決して余計に保険金を受け取ることができるわけではありません。そのため、搭乗者傷害保険と人身傷害保険は、どちらかの保険の補償しかなされないことが想定されますから、注意しましょう。損害保険は、補償が重複したものを避けることが加入の際の大切なポイントと言えます。